運命の相手だと思える人に出会ったら
大学生の時につきあった彼。
この人に会うために生まれてきたんだと心から思える,大好きな人だった。
でも彼は留学することが決まっていた。
当時の私にとって海外留学なんて想像もつかない世界で,遠距離恋愛できる自信なんて全くなかった。
彼が日本を発つ日まで「あと何日,あと何日」って心の中でカウントダウンしながら彼に会っていた。
泣くまいとしていたけど,彼の前で泣いてしまったことも何度かあったと思う。
ついに明日,彼が日本を発つという日。
私たちは空港の側のホテルに泊まった。
でも私はその時まで処女で,とても痛くて,うまくsexできなかった。
結局一晩中二人で他愛もないお喋りをしたり,テレビを観たり。
会話が途切れると涙が溢れてしまう。
こんなことが喋りたいんじゃない,もっと大事なことを言っておかなきゃと思いながらもとりとめのない話ばかりしていた。
彼が留学してからは何となく音信不通になってしまい,私は別の人とつきあい始めた。
その人のことももちろん好きだったけれど,あの全身が張り裂けてしまいそうな強い恋愛感情を経験したあとでは,大してのめり込むことはできなかった。
でも,私はその人とのsexで処女を捨てた。音信不通になってしまった昔の彼への歪んだ対抗意識があったのかもしれない。
それなりに好きな相手だと思っていたのに,してみたら全然よくなかった。
初めてだったから肉体的満足が得られないのは仕方ないと思うけれど,せめて精神的には満足したかった。
でも,嬉しくもないし幸せだとも感じられない。
ただ悲しくて,その日,家に帰る道で歩きながら一人で泣いた。
やっぱりあの彼のことが好きなんだと思い知らされ,自分の浅はかさが悔やまれた。
そのうち,彼が留学から帰ってきた。
何度か会いはしたけれど,結局,元に戻ることはなかった。
私は何となく,処女を捨てた彼とずるずるとつきあい続けていたから。
意地になっていたんだと思う。
あの頃は,全身を傾けて愛せる人にまだいくらでも出会えるような気がしていたけど,結局,その彼以上に好きになれる人には巡り会えなかった。
何人かの人とsexもしたけど,ほどほどの満足しか得られたことがない。
運命の相手だと思える人に出会ったら,絶対にその手を離しちゃいけないんだ と今ならわかる。